■ 中学受験まであと2カ月、この時期に国語ができないときには…

中学受験において国語がどうも苦手だという生徒さんは、かなり多いのではないでしょうか。生徒の志望校や偏差値レベルにもよると思いますが、いよいよこの時期まで来て国語ができず、「さぁどうしたものか」とやきもきしているお母さんもいることかと思います。

今回はこの時期(11月)に国語ができない生徒のために、この時期からできる効率的な国語学習方法の戦略とアドバイスを紹介します。


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※画像はイメージ 画像:足成

■ 3つのパートを向上させよう

中学入試の国語は大別して3つのパートに分かれます。

① 漢字
② 知識
③ 長文

国語はこの3つのパートを同時並行で学習していかなければなりません。残り約2カ月、この3つのパートを地道に勉強して頑張っていきましょう。


① 漢字はやはり毎日の積み重ね

まずはじめに漢字パート。漢字パートはとにかく落とせないですね。ある下位校では、長文が合格点を越えていても、漢字のできがあまりにもひどすぎると不合格にするそうです。

「なぜ?」と思われるかもしれませんが、当然のことかもしれません。いくら下位校といえども、漢字すらできない生徒に対し入学後に学校側が再度教育を施していくのは、実に面倒な作業になるからです。

さらに言うと、漢字ができないことは中学入学後の国語のみならず、社会や理科、ひいては数学の理解力にまで影響を与えかねません。最低限できていなければならない漢字すらおろそかにする生徒を学校側もおいそれと合格にはしたくないでしょう。

漢字のでき(計算のでき)は、家庭が日頃教育をきちんとしているかをはかる良いバロメーターです。私も様々な生徒を見てきましたが、「漢字が書けない・読めない」「簡単な計算ができない」という生徒はやはりいますし、指導も実に大変な作業になります(もちろん、だからこそ塾に来ているわけですが…)。

特に小学5年生以下のお子さんをお持ちの親御さん、生徒のためにも、「漢字の書き取り」「計算問題を解く練習」は毎日の習慣にしてください。塾に任せるだけでなく、家庭でもきちんと「漢字の書き取り」「計算問題を解く練習」ことを習慣化し、宿題管理してもらえると後々お子さんのためになります。

話を戻します。受験生の場合は時間がありません。やはり漢字の頻出問題を大量に解くという物量作戦で行くのが正道でしょう。漢字も頻出問題はとにかく点差がつきやすいですし、時間効率を考えると、あれもこれもではなく、まずは頻出の問題集を選びトレーニングを積むことが重要になります。




■ 「中学入試でる順漢字3500」(旺文社)

時間効率のよい問題集と言えばやはり旺文社の「でる順」シリーズ。「中学入試でる順漢字3500」をレベルに応じてやると良いでしょう。全く漢字ができない子は、読みも書きもせめてはじめから半分を完璧にするぐらいの目標でトレーニングしましょう。ある程度漢字ができる子なら1冊を完璧に仕上げたいところ。

やり方は、朝100問から200問を解き、夕方に同じ問題を繰り返す。さらに夜には間違えた問題を再度解く。1回にかける時間は15分~20分程度。次の日同じことを新しく繰り返して、前日に間違えた問題に再度チャレンジ。そして間違えた問題をストックしていく。週の終りに一気にできなかった問題を2度3度できるまで解く。ポイントは間違えた問題を繰り返し解く点。



■ 「漢字合格の2730題」(声の教育社)

「でる順」以外にも、これは良いなというおすすめの漢字問題集があります。それは首都圏で過去問題集を発売している声の教育社が出している「漢字合格の2730題」。これは教える側にとっても使う側にとっても実に使いやすい教材です。頻出問題を集めるというスタンスはでる順と同じですが、構成がいたってシンプル。そのため「中学入試でる順漢字3500 」以上に生徒にプレッシャーがかかりません。

下位校だろうが、中堅校だろうが、上位校だろうがレベルを問わず、中学入試の国語の漢字対策はこれ1冊で済ませています。男子御三家、女子御三家、慶応系(慶応中等部・慶応普通部)に受かった生徒たちも、漢字と四字熟語をはじめとする知識問題は、「漢字合格の2730題」をメイン教材としていました。本書は実におすすめな教材です。


参考:あまり知られていない中学受験用の良い問題集:声の教育社「中学入試用出題ベスト10」シリーズ(漢字合格の2730題・ 計算合格の800題)

漢字のおすすめの問題集はこの2冊になります。


② 知識パートは志望校に応じて

知識パート(四字熟語・ことわざ・慣用句・歳時記などの知識)は、まず志望校・受験校の過去問題を見て「どの分野が出題されやすいか」を確認しましょう。もちろん傾向が変わることもあるので、その分野が絶対出るとは限りませんが効率を重視するため傾向に沿った問題を優先的にこなすようにしましょう。

四字熟語やことわざ・慣用句などは、上記の「漢字合格の2730題」で十分すぎます。「漢字合格の2730題」はシンプルにコンパクトに出るものだけが問題として構成されています。ですから、できれば「漢字合格の2730題」で志望校・受験校の出題されやすい分野を完璧にしておきたいところです。もしくは、やはり上記の「中学入試でる順ことばの問題3000」を利用する。

慶応中等部・慶応普通部・青山学院中等部など、ややマニアックな知識(その学校の傾向にしてみれば普通の問題ですが)を問いやすい学校が志望校・受験校になる場合は、日能研の「国語ベストチェック」あたりがオーソドックスでよくまとまっている教材です。

国語ベストチェック (チェックシリーズ)
日能研教務部
みくに出版
2010-09-15


■ きっかけをつかみたい場合には

また中堅校・下位校を目指していて、どうも知識問題の定着が悪いようであるならば、集英社の「ちびまるこちゃんシリーズ」を読ませるのが効率的。半日あれば一冊読めます。


「ちびまるこちゃんシリーズ」には、ことわざ・四字熟語・慣用句・敬語と4つのシリーズがあります。本書を特に小学校4・5年生に使うと、恐ろしいほどのスピードで知識を吸収し指導がとても楽になります。マンガの効用は侮れません。

受験生でも時間がない場合や、とにかく「きっかけをつかみたい」という際には、この時期(11月)においても選択肢の一つとして考えたい教材です。受験まであと2カ月、特にお母さんとしても「どんな手を使ってでも」と思われているかもしれません。候補の一つにしてみてください。

ちなみに、子供がニンテンドーDS(ゲーム機)を持っているなら、「でる順」シリーズはゲームになっています。

旺文社 でる順 国語DS
アイイーインスティテュート
2007-05-31

以前教えていた慶応普通部に合格した生徒は、バスで通塾していたのですが、その通学の合間や帰りの迎えの車の中で、こういったゲームを活用していたそうです。今の子供たちは、ゲームで学習することに抵抗はないでしょうし、こういった方法も現状の学習より効率が高くなるかもしれません。

いずれにせよ漢字パートと知識パートで大切なことは、できるだけ問題を大量にこなしたうえで間違えた問題を繰り返し解くこと。受験日当日まで穴をなくしていきましょう。

次回は長文対策の説明をします。


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