■ 承認欲求を満たす(=ほめる)と面白いように学力が伸びる子供もいる
今日は子供の承認欲求を満たすことについてのお話。子供の承認欲求を満たす、すなわち、ほめるだけで子供が勉強をするようになり、学力が伸びていく例もあるということをお伝えしたいと思います。
■ 子供の承認欲求は満たしてあげたほうがいい?
最近、子供を「ほめて伸ばす」といった類の本が売れています。本屋へ行くと勉強法やコーチングに関連したコーナーには、子供を「ほめて伸ばす」関連の書籍が数多く平積みされています。
それらの書籍に書かれていることを要約すると「人間誰しも他人に認められたいという承認欲求を持っている。だから、子供の承認欲求を満たす(=ほめる)と学力が伸びるのだ」ということになります。
個人的な経験を踏まえて考えたときに、この子供の承認欲求を満たすコーチング方法、すなわち「ほめて伸ばす」という方法は確かに有効であると思います。
■ 教育業界に関わる人は"優しい人"が多い?
余談ですが、塾や予備校の講師、それから学校の先生のように教育業界に関わる人は、おしなべて他の業種に就く人に比べ、素の性格として"優しい人"が多い印象があります。
無論、その中で自身の経験に基づいて、優しい指導、厳しい指導と指導方法のタイプが別れていきますが、いずれの指導方法のタイプでも、ほめるのが上手な先生が多いと言えるでしょう。
例えばニコニコしてほめてくれる優しい指導方法の先生。塾や予備校の講師に多いこのタイプの先生は、自己評価が低い生徒にはとても合います。学校(や場合によってはご家庭)で、子供の承認欲求が満たされていない場合、塾や予備校でほめてもらうことで、子供が自発的に勉強をするようになり、学力が伸びていくケースが多いものです。
■ 厳しい先生にほめられることは効果絶大
一方、自己評価が高いけど成績が伸びないような生徒には、厳しい指導方法の先生が合うケースが多いようです。ちなみに親御さんの中にも「ウチの子は厳しい先生の方がいい」というオーダーを出される人も少なくありません。
ただし、塾や予備校の厳しい先生もいつも厳しいわけではありません。設定した課題やハードルをきちんとこなしたら、優しい指導方法の先生に比べて数は少ないですが、ほめてくれるはずです。
普段は厳しい先生がたまにほめることは、生徒にとってかなり効果があることです。個人的にも、日頃厳しい指導方法の先生からほめてもらって、生徒が大喜びし俄然やる気になった姿を何度も見たことがあります。
いずれにせよ、優しい指導方法の先生、厳しい指導方法の先生、指導方法的にタイプが異なっても、その経験から勘どころを押さえて、子供たちの承認欲求を満たす、効果的なほめ方をする先生が多いのではないかなと感じます。
そして、その結果として生徒のやる気が引き起こされ、成績の向上につながっているのです。
■ 生徒のやる気を引き出すのも塾の先生の仕事のひとつ
塾の先生にとって、生徒のやる気(=モチベーション)を引き出すことは、とても大切な仕事のひとつです。試験に出るところを丁寧に教えることも重要な仕事なのですが、特に長期的な視点で考えると、生徒が自発的に勉強に取り組む環境づくりをしていくことのほうが大切になるのです。
生徒が自発的に勉強に取り組むというのは、生徒のやる気を引き出すということですし、生徒のやる気を引き出すための方法のひとつとして、承認欲求を満たす、すなわちほめるということはとても大事なことになってきますす。
生徒をほめるということは、少ない労力で「はずみ車を回す」ことに似ているのではないかと、個人的には感じます。
■ ご家庭でもほめることは簡単にできる
親御さんの中には「自分の子供をあまりほめない」という方も多いようです。
おそらく親御さんのみなさんも本来は優しく、ほめることが上手なはずです。仲間・友人・部下に対して日頃は優しく接することが多いのではないでしょうか?
ただ面白いもので、自分の身内、特に自分の子供となると要求のハードルが高くなり、どうしてもあまりほめる機会がなく厳しく接してしまうことのほうが多くなってしまうのではないでしょうか。
特に勉強が得意な子供を持つ場合「勉強ができること」が当たり前なので、ご家庭であまりほめられたことがないというケースも多く見られます。よい点数を取っていても親御さんに「これじゃダメだ」なんて言われ続けたりして、次第にやる気がなくなってしまうパターンもあるのです。
このような生徒がスランプに陥った場合、承認欲求を満たしてあげる、つまりほめることで成績が回復するなんてこともあります。また受験に合格するご家庭というのは、えてして親御さんがほめるツボをおさえてらっしゃるご家庭であることが多い印象を受けます。
■ ほめるうえで大切なのは数字だけで判断しないこと
受験生をほめるうえで大切なことは、例えば点数や偏差値といった表面上の数字だけで判断をしないことです。
もちろん点数や偏差値といった表面上の数字が向上していれば、ほめたほうがいいでしょう。ただし生徒自身が頑張ったにもかかわらず、点数や偏差値といった表面上の数字が向上しない場合もあります。
その際には「以前苦手だった項目ができるようになった」であったり、「勉強に対する姿勢の変化」であったり、生徒が過去に比べて変化した点を積極的に見つけ出し、ほめてあげるとよいでしょう。決して他人との違い(「〇〇ちゃんはもっと頑張っている」など)を評価基準に入れないようにしてあげてください。あくまで本人を軸にするのがポイントです。
こういった作業を丁寧に続けていくことで、承認欲求が満たされ、面白いように学力が伸びる子供も少なくないのです。
以上、参考にしていただければ幸いです。
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