■ 主語と述語を意識するだけで英文和訳力は安定する

今回は高校受験・大学受験の英語・英文和訳について。英文和訳力が安定しない生徒は「主語と述語を大切にしない人が多い」ということをお話しようと思います。

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※画像はイメージ 画像提供:足成

■ 「英文和訳問題が苦手」=英語の入試問題全体への対応力が欠けている

中学生にせよ高校生にせよ「英文和訳問題が苦手」という生徒は多いものです。

この「英文和訳問題が苦手」というのはかなり厄介なことで、「英文和訳問題が苦手」ということは、長文読解問題における長文を正確に読み取れていないことにつながりますし、さらに言うと語法などの問題への対応力にも疑問があるということになります。

つまり「英文和訳問題が苦手」という生徒は、英語の入試問題全体への対応力が欠けていることになるのです。


■ 「英文和訳問題が苦手」な生徒は"感覚"で訳していることが多い

「英文和訳問題が苦手」な生徒の多くは、えてして英文を"感覚"で訳しているものです。知っている単語をつなげて筋が通る文章になって正解すればラッキー、不正解なら運が悪かったというような、運任せな英文和訳をしている生徒が少なくありません。

高校入試の英語のように比較的簡単な文章の場合、ある程度、頭がよければ単語を追っていくだけで和訳が作れてしまうので、(偶然)正答を作れることも多くあるでしょう。

しかし、このような"感覚"に頼った英文和訳で高校受験を乗り切ってしまって、大学受験も同様の方法で乗り切ろうとすると相当苦労することになります。


■ 主語と述語を意識しない英文和訳をするとどうなるか

"感覚"に頼った英文和訳をする生徒は英文法、特に主語と述語を軽視する特徴があります。この主語と述語を軽視するということは、英語学習においては致命的であるため、すぐに修正をしたいところです(逆に言うと、英文和訳を見るだけで英文法の実力を測ることもできるとも言えます)。

実際に主語と述語を意識しない、具体的な英文和訳の例を見てみましょう。英語版 Wikipedia の夏目漱石の項目より文章を借用します。漱石が文部省の国費留学生として英国留学したくだりからです。

In 1900, the Japanese government sent Sōseki to study in Great Britain.

この一文を中学生の英文和訳風に訳すと「1900年に日本政府は漱石を勉強(研究)のためにイギリスへ送った」となります。主語は Japanese government =日本政府、述語は sent ( send の過去形)=送った、になります。

これが"感覚"に頼った英文和訳をする生徒の手にかかると、信じられないかもしれませんが1900年"が"とかイギリス"が"などと、前置詞句を主語として訳してしまうこともあるのです(「前置詞句は主語になりませんよ」ということを知っていても平気でやらかしてくれる生徒も少なくありません)。

無論、上の例は一例です。

上の例以外にも分詞の概念(「する」「される」)であったり、関係代名詞による修飾などといった各英文法分野のルールを無視した"感覚"に頼った英文和訳を作ろうとする生徒がいます。




■ 主語と述語を意識するだけで英文和訳力は安定する

こういった"感覚"に頼った生徒に対して指導を行う際には、まず主語と述語を意識させ英文和訳させるだけで、英文和訳力が安定することが多いのです。

英文法の核となる主語と述語(「誰が何をする」「何は何だ」)を、生徒に意識して英文和訳させることで、英文中の他の英文法分野にも目が向かうようになり、英文和訳力が次第に安定していくようになるのです。

もし英文和訳力が安定しない生徒を指導している先生や、"感覚"に頼った英文和訳をしていると自覚している生徒さんがいたら、まずは主語と述語を常に意識するようにし、きちんと主語と述語を見つけて英文を訳すよう心がけるというところからはじめてみてはいかがでしょうか


以上、参考にしていただければ幸いです。


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