■ 中には過去問題が4年分しかない学校もある
今日は中学受験における「古い過去問題」の重要性と入手方法について。志望校が早い段階で決まっているのなら、できるだけ早くAmazonで古い過去問題を入手しておきたいところです。
■ 各学校、入試問題では過去の出題傾向が踏襲される
中学入試における過去問題の重要性は、皆さんご存知かと思います。中学入試のみならず、高校入試・大学入試を含めた各種試験において、各学校で出題される問題には特徴・傾向があります。
入試問題の特徴・傾向は各学校、千差万別でなかなか興味深いものがあります。各学校、どんな生徒を取りたいかに合わせて入試問題が作成されます。例えば記述問題が多い麻布、スピード重視の慶応中等部…。それぞれの学校のカラーが入試問題に表れていると言っても過言ではありません。
出題する先生が変わると、入試問題の傾向も変わるといったことも稀にありますが、10年、20年といった長いスパンで過去の出題傾向が踏襲されることが多いように思います。
そして、この過去問題で一定の点数が取れれば、志望する学校の合格ラインに届いていることに理論上はなります。また、合格点に達していなくとも、生徒の弱点分野を知ることにより、その後の弱点分野の補強に役立てることができます。
過去問題をどのように扱うかは各塾、先生、生徒によって異なってくるでしょう。ですから、ここでは過去問題の使い方については言及しません。また別の機会があれば、お伝えしたいと思います。
いずれにせよ、この過去問題、できるだけ多くの問題に触れるにこしたことはありません。
■ 過去問題集は学校によって収録されている年数が異なる
さて、この過去問題、大学受験だと教学社が出しているいわゆる「赤本」が有名です。首都圏の中学受験ですと、声の教育社が出している過去問題が有名でしょう。皆さんは、これらの出版社が出している過去問題、学校によって収録されている年数が異なることはご存知でしょうか?
中学受験だと、声の教育社が出している中学受験の過去問題を例に見てみましょう。多い学校では10年分(中には10年分を超えて収録されている学校もあります!)、少ない学校だと3年分しか収録されていません(もちろん、中には複数回分の過去問題が収録されている学校もあります)。
生徒が受験する学校の過去問題が10年分収録されていればよいのですが、3・4年分だと、すぐに解けてしまい、少し実戦には物足りないものです。
もちろん、長年中学受験の指導をしている多くの塾では3・4年分以前の過去の問題も保存してあることでしょう。ただ、開校したばかりの塾だったり、受験生が少ない中学の場合、生徒が志望する学校の「最新版の過去問題」はあるものの、それ以前の「古い過去問題」はないということも考えられます。長年、受験の指導している塾でも、スペースの関係上(意外と過去問題はかさばるものです)、過去全ての過去問題を置いておくということはできません。
もし、これらの事情で「古い過去問題」を手に入れられない場合は、ぜひ親御さんには、お子さんのためにも「古い過去問題」を入手してあげてほしいものです。
■ 受験では、過去問題・類似問題の絶対量が大切
「古い過去問題」を入手することは、問題演習の絶対量を増やすことにもつながります。これは、受験合格に向けて、とても大切なことになります。また、面白いもので、生徒が解いた問題の絶対量は、生徒の自信にもつながります。志望校の4年分の過去問題を解くだけでなく、8年分も志望校の過去問題を解いたとなると、生徒にとっては「これだけ解いたのだ」という大きな自信につながります。
さらに、特にスピード型で問題量の多い学校(これは、国語の漢字・知識問題や社会の歴史問題などで顕著なのですが)では、最新版の過去問題に収録されている年度以前の古い過去問題から類似の出題がなされる(時にはほぼ同じ問題)ことは、よくある話です。出題者側の心理からすると、各教科、出題範囲は広いようで意外と狭いため、どうしても最新版の過去問題に収録されていない、以前の問題から、言葉は悪いですが「使い回す」ことも出てくるようです。
「古い過去問題」を入手し、解くメリットはこのような点が挙げられます。デメリットはあまりありません。
ですから、特に第一志望の「どうしても入りたい」学校の過去問題が3・4年分程度しかついていないのであるならば、ぜひ、それ以前の「古い過去問題」を入手してほしいと思います。私個人としては過去問題が4年以下の場合は、「古い過去問題」を入手するようにしています。5・6年分だったら必要に応じて。9・10年分ついているなら必要ないと思います(もちろん、あるにこしたことはないのですが)。
■ Amazonで入手するのが一番便利
「古い過去問題」を入手する方法はAmazonが一番便利です。Amazonは検索機能が充実しているので、欲しい学校の名前を入れて、あとは年度を計算して、重複がないように「古い過去問題」を選んで入手しましょう。ブックオフなどの古本屋などにも、「古い過去問題」は置いてあることには置いてありますが、年度は新しめ中心なので、あっても昨年度版まで、冊数も少ないため志望する学校の古い年度の過去問題があるということはほとんどないでしょう。
受験が終わると過去問題を捨ててしまう人が多いため、「古い過去問題」は貴重です。お値段は少々はりますが、背に腹は代えられません。
■ 「古い過去問題」を使用する際の注意点
また、「古い過去問題」を使用する際の注意点をひとつ。通常の過去問題を解く際もそうなのですが、社会の地理・公民分野はデータが変わっている場合があります。時事問題も既に古い内容になっている場合があります。したがって、社会の問題を解く際には、指導者や親御さんが解くべき問題、解かなくていい問題を分けてあげる必要があります。
■ 実際の例
首都圏の中学校、「声の教育社」が出している過去問題(平成27年度受験版)を例に「古い過去問題」が必要な学校、必要でない学校を見てみましょう。
例えば9年・10年分の過去問題が収録されている学校を見ると、
- 筑波大学附属駒場中学校
- 麻布中学校
- 開成中学校
- 駒場東邦中学校
- 女子学院中学校
- 桜蔭中学校
- 雙葉中学校
- 慶応義塾中等部
- 青山学院中等部
- 立教女学院中学校
- 武蔵中学校
いわゆる御三家やトップレベルの大学付属は過去問題も充実しています。受験機会が1回しかないという点も影響しているのでしょう。雙葉中学校はなんと13年分収録されています。
一方、5年未満の学校を見てみると、
5年
- 早稲田中学校
- 海城中学校
- 巣鴨中学校
- 成蹊中学校
- 国学院久我山中学校
- 明治大学付属明治中学校
- 成城学園中学校
- 東京女学館中学校
- 学習院中等科
- 共立女子中学校
- 大妻中学校
このあたりを第一志望にするなら、やはり「古い過去問題」は入手したいものです。
4年
- 芝中学校
- 聖光学院中学校
- 本郷中学校
- 早稲田大学高等学院中学部
- 成城中学校
- 学習院女子中等科
- 東京都市大学付属中学校
- 東京都市大学等々力中学校
- 頌栄女子学院中学校
- 鷗友学園女子中学校
- 実践女子学園中学校
人気校が並びます。第一志望にする場合は、絶対に「古い過去問題」を入手したい学校ばかりです。
3年
- 渋谷教育学園渋谷中学校
- 広尾学園中学校
- 攻玉社中学校
- 世田谷学園中学校
- 高輪中学校
- 青稜中学校
- 品川女子学院中等部
- 田園調布学園中等部
- 八雲学園中学校
- 駒沢学園女子中学校
こちらも人気校が多いですね。こちらも「古い過去問題」を入手したい学校です。
先程も少し触れましたが、5年未満しか収録されていないというのは、例えば1つの年度に複数回受験があり、それらを収録しているため、紙面の都合で少ない年度になってしまうという理由も多いようです。また、学校側の要請により、少なくなるということがあるということも噂ですが聞いたことがあります。
いずれにせよ、過去問題の収録が少ない(おおむね4年以下)学校では、「古い過去問題」の入手が不可欠になってきます。受験戦略の参考にしてください。
---------(例)聖光学院中学校(声の教育社)の場合4年分しか過去問題がついてません。平成27年度版を持っている場合、27から4を引いて平成23年度版を購入すると、重複なく過去問題が入手できます。
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