■ 日常生活ではあまり使われない言葉「僥倖(ぎょうこう)」
今日は日本語の話。ある本を読んでいてふと思ったのですが、「僥倖(ぎょうこう)」という言葉、日常生活では、あまり使われませんね。
この「僥倖」という言葉には、いったいどのような意味があるのでしょうか?
■ 「僥倖」の意味は「思いがけない幸運」
「幸せな状況」を意味する日本語の言葉には、幸という字をそのまま用いた「幸せ」だとか「幸福」といった言葉があります。
そして、この「幸せ」だとか「幸運」が思いがけず生じた際や偶然起きた時に、昔の人は(もちろん、現在でも使われていますが)「僥倖」という言葉を使いました。
というわけで、「僥倖」の意味は「思いがけない幸運」。読み方は《ぎょうこう》になります。
先日、ある小説を読んでいた時に、この言葉に出会ったのですが、「僥倖」という言葉は、そういえば実際の生活では、そうそう使わない言葉だなぁ、とふいに思った次第です。
■ 大学入試では意味を問われることも
実際の生活において、「思いがけない幸運」がそんなにあるわけでもない(私だけかもしれませんが)ですし、仮にあったとしても、「僥倖」という言葉が、果たして口から出てくるかどうか…。
私の貧困なボキャブラリーでは、「すごいラッキーだったよ」ぐらいの言葉しか出てこないような気がします。
大学入試では、まれに読み方や意味を問われることがあるので注意しましょう。
■ 夏目漱石の『それから』にも使われている「僥倖」
いずれにせよ、この「僥倖」という言葉からは、意味や読み方を含めて日本語の美しさを感じられます。
ネットで調べてみると夏目漱石の『それから』に使われているようです。やはり美しい文章なので、以下に引用します。
「彼は健全に生きてゐながら、これ生きてゐるといふ大丈夫な事実を、殆んど奇蹟の如き僥倖とのみ自覚しだす事さへある。」(夏目漱石『それから』)
機会があれば、こんな風に文章の中で使ってみたいですね。
ちなみに「僥倖」の反対語は「奇禍」。読み方は《きか》になります。もう見て字のごとく、そのままですね。ちなみに「禍」という文字は「禍々《まがまが》しい」という言葉に使われているように、「よくないこと」を指します。
皆さんの生活の中でも、「僥倖」が起きるといいですね。
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