■ 11月に算数ができない受験生はどうすればいい?

今日は中堅校から下位校を目指す受験生で、この時期(11月)に算数ができない生徒、特に算数が苦手な生徒にとって鬼門となる「比」への対策方法をお話したいと思います。


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※画像はイメージ 画像:足成

■ 11月は具体的な志望校を考えはじめる時期

11月に入り、親御さんも生徒さんも具体的な志望校を考える時期に入ってきました。出そろった模試の偏差値や塾の先生のアドバイス、そして親御さんや生徒さんの希望をすり合わせて、志望校を吟味している時期なのではないでしょうか。

中には特定の科目が伸びきれず、当初の予定を大幅に変更しなければならない状況になっている親御さんや生徒さんもいるかもしれません。例えば、理科や社会の成績がどうしても伸びきれないなので、総合偏差値のランクを落とした志望校選定や2科目受験を視野に入れる-などのケースもあるでしょう。

参考:中学受験:4科目受験から2科目受験への変更の判断のポイント


■ 基幹科目であり配点比率が高くなる国語や算数

国語・算数よりも配点比率が小さいことが多い理科や社会が伸びきれないケースでは、上記のように総合偏差値のランクを落とした志望校選定や2科目受験を視野に入れた受験戦略は、(もちろん個々の生徒の状況によって異なりますが、国語・算数での得点力があるならば)ある程度有効です。

ところが4科目受験における基幹科目であり、どうしても配点比率が高くなる国語や算数の成績が伸びきれなかった場合には、この時期(11月、あるいは10月)からは徹底的に第一志望校の国語・算数の過去問題の傾向に焦点を合わせた学習をすすめるチャレンジングな受験戦略をとるか、あるいは安全策をとり総合偏差値のランクを落とした志望校選定をしていくか、親御さんも塾の先生も悩みどころだと思います。

ちなみに個人的には、国語に関しては、難関校であれ中堅・下位校であれ仮に11月からであっても一定の得点力をつけることは可能であるという信念を持っています。その点に関しては以下の記事に書いてあるので参考にしてください。

中学受験まであと2カ月:中学受験国語ができない生徒へ(下)~早瀬律子「中学入試を制する国語の『読みテク』トレーニング」

■ 中堅・下位校なら11月に算数ができなくても逆転合格の可能性はある

一方、問題となるのは算数。11月に算数ができない受験生の場合、4科目の総合的な能力が求められる難関校を受験するのは、(個々の生徒の状況によって異なりますが)再考が必要になってくるケースが多いもの。

ただ中堅・下位校に限って言うと、11月に算数ができなくても逆転合格の可能性はあります。

無論、もうひとつの配点比率が高い科目である国語の得点能力が十分にあるとか、過去問題を解いて理科や社会に不安要素がないとか、算数以外の他の科目できちんとフォローができるという前提条件が必要となってきます。

そのうえで、受験校の算数の過去問題をベースに対策を立てたり、苦手な分野をつぶしていくことで、中堅・下位校なら逆転合格の可能性が高まるでしょう。


■ 中堅・下位校の算数では「比」を得点源に

どの科目でもそうですが、一般的な中堅・下位校で受験生に求められる能力は基本的な問題をきちんと解けるかという点に尽きます。簡単な問題、難しい問題が大問として入りまじって出題される中で、基本的な問題をきちんと得点していく。

例えば計算問題。算数が苦手な生徒に限って簡単な四則演算でケアレスミスが多いものです。その場合には、まずはそこから修正しなければなりません。特に下位校を受験するのであるならば、計算問題でのミスは致命傷になります。

また計算問題で得点できるのに(比較的平易な出題が多い)首都圏模試で偏差値が40前後もしくは40に届かないという生徒の多くは、「比」の概念があやふやであったり身についてないため、「比」の概念をベースにした文章題で失点している印象を受けます。

首都圏模試(統一合判)で点数・偏差値が上がらない場合の対策方法

中堅・下位校の算数では「比」の概念をベースとした文章題の出題が多くなされ、得点差がつきやすくなっています。したがって「比」の分野を短期間で集中的に学習することで、算数全体の得点力が飛躍的に底上げされるというケースも少なくありません




■ この時期(11月)に算数の「比」ができない生徒への対策方法

4月や5月といった腰を据えて学習できる時期ならまだしも、この時期(11月)に算数の「比」、特に文章題として「比」が出題されるとお手上げになる場合には、とっかかりとなる参考書や問題集選びが大切になってきます。

そんな中で、個人的におすすめしたいのは熊野孝哉氏が著した「熊野孝哉の『比』を使って文章題を速く簡単に解く方法」(エール出版社)。わかりやすく「比とはどういう考え方なのか」「比を利用して文章題をどのように解けばよいのか」という説明をしてくれています(2014年に増補改訂版が出版されました)。


もし、志望校の算数の過去問題の傾向が"「比」の出題(もしくは「比」を利用した文章題)が多い"と分析され、なおかつ生徒が算数の「比」、特に文章題を苦手としているのであればぜひ本書を活用してください。

本書をまずとっかかりとして、過去問題であったり問題集を短期間で集中的にこなしていくことで、算数の「比」に関する出題に対する生徒の苦手意識が払拭され、結果的に得点源となる可能性が高まります。


■ 個別指導塾や家庭教師の活用も視野に

ただし中堅・下位校を志望する生徒が一人で本書を活用するには、やや大変ではないかなという印象があるのも事実です。もし親御さんに中学受験・算数の素養があるのなら、お手伝いしてあげてほしいと思いますし、場合によっては個別指導塾や家庭教師の活用をすると効果的な学習が期待できるでしょう。

いずれにせよ、 この時期(11月)に「比」の概念があやふやであったり身についてない生徒に対しては、まず本書の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

以上、参考にしていただければ幸いです。



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